2024年4月24日掲載
この3月に私もいよいよ後期高齢者となりました。しかし威張って見せても誰も反応してくれません。団塊世代ですので、周辺に75歳以上なんてうんざりするくらいいるわけです。
80歳くらいになれば、もう少し周囲もかまってくれるかなぁとも思っておりますけど。
後期高齢者は生活の質においても経済的な面でも、そして健康面でも格差が非常に大きいのが特徴です。
日本は世界に冠たる長寿国でありますが、健康寿命は男性ではおおよそ7年、女性では11年平均寿命より低いといわれています。
近年の医学の驚異的な進歩によって、ガンをはじめとして以前は不治の病と言われた病気も治療によってかなりの程度治癒が期待できるようになりました。
元気で長生きしている人が増えている一方で長生きはできても様々な障害に悩まされ介護を受けざるを得ない方もどんどん増えています。その差はどうしてでしょう。私自身の経験からも、比較的若い時から生活習慣病を抱えている人に、そのような障害を抱えつつ余生を送らざる得ない人が多いと実感しています。
三大生活習慣病と言われる、高血圧、糖尿病、 脂質異常症は遺伝素因もある程度はあるにせよ、文字どおり生活習慣によるところが非常に大きいのです。しかも症状はほとんどありません。厄介なことに食事や運動習慣さらにはタバコ、アルコールといった日常生活のあり方が非常に大きく関わってきますので、改めることが大変難しい。
産業医として毎年健診データを見てつくづく痛感するのは受診を勧めても気にしない人達が非常に多いということです。
生活習慣病が問題なのは現在の状態ではなく若年者、壮年期の働き盛りの人が歳を重ねるにつれて、今日でもなお治療が難しい合併症をきたすことにあるのです。
具体的には脳卒中、心臓病、腎臓病、タバコの関係でいえば慢性気管支炎から誤嚥性肺炎、認知症、さらにガンなど、しかもこれらが複合していることが多い。最終的には要介護の寝たきりです。
働き盛りの人たちにとっては、何十年も先のことなど想像もできないでしょうが、生きてさえいれば、老はいずれ必ずやってくるのです。人生100歳時代なんて言われても、治ることのない障害を抱え辛い思いをしてまでは生きていたくはない!と切実に思います。
もちろん先のことは全くわかりません。
同級生の訃報に接することが最近は年毎にかなりのスピードで増えてきています。
私自身、そう遠くない将来にやってくるその日までは、元気で過ごしていたい。
どうぞ働き盛りの皆さん、生活習慣病に真剣に向かい合って、なるべく早く悪の芽をそぎ取るようにして下さい。
歳を取ってからではもう遅いのです。
理事長 近江 徹広