2017年1月5日掲載
新年あけましておめでとうございます。
コラムはしばらく更新しておりませんでした。
というのも最近、非常に多くの受け持ちの患者さんの状態が悪化して入院したり在宅で看取ったりと忙しかったためです。
最も怠惰であることが最大の理由ですけど。
いつも年末年始は気候も厳しいせいもあり、亡くなる人が多いのです。(今年はそれほど厳しい気候ではありませんけど)
私は訪問診療を行っています。経過によっては入院してそのまま病院で亡くなる方も多いのですが、看取りまで行うことを原則としています。
もはや回復が見込まれない、あるいは老衰としか言えない患者さんの最期をどう対応するかについて家族の方も悩まれると思います。
最後は入院させてほしい、入院が無理なら点滴でも胃ろうでもしてほしいという家族には『できるだけ何もしない』という私の考えを述べさせていただくことにしています。
死は誰にも訪れます。徒らに点滴針を刺したり栄養を与えることはかえって患者さんの苦痛を長引かせることになります。末期の状態では水分や栄養補給を行なっても、もはや取り込める体力は残っていません。むしろそばにいて手を握ってお別れする方がどれだけ良いか と経験から申し上げております。
緩和ケア病棟は別として病院は治療が目的です。最期にふさわしいところではありません。
昨年私は妻とともに尊厳死協会に入会しました。もし治療効果が期待できなくなったら痛みだけはコントロールして欲しい、それ以外の延命治療は決して希望しません、という思いからです。
超高齢社会と言っても私も高齢者(前期ですけど)です。いずれ死はきます。老いて病を得て死ぬのは全く自然のことです。
自分自身の最期の時について日頃から家族と話し合っておくこと、あるいは文書に残しておくことで家族の負担も減ることになります。
家族は肉親の最期はどう対応したら良いか?本当に何もしないで良いのか?揺れ動くものです。家族にとってはどんな介護をしても悔いは残るので、話し合っておくことは家族のためにも大事なことと思います。