2015年6月15日掲載
4月にスタートした急患センターに私も3回ほど、診療にいきました。
もちろん夜間の診療所ですので、具合がわるい患者さんはどうぞ遠慮せず受診してください。
ただ正直いって、なんでこんなことで、夜間に受診するのだろう?
という思いがしばしばいたします。
例をあげれば、鼻水がとまらない、咳がつづいている、朝から熱が下がらない、 なんかだるい、などなど。
まあ病気の素人だから仕方がない、といえばそれまでですが。
つまり自分の体の異常は全部医療にお任せ!医療がなんとかしてくれる、医療がなんとかするのはあたりまえである!というふうに考えるのでしょう。
医療がいまほど発展していない時代なら自分の体の異常の程度は自分で判断してから受診の適否を決定したでしょう。
つまり大袈裟にいえばそれだけ生きる力が減ってきてまったく病気について受け身になってしまったといえるのではないでしょうか?
別に医療にかぎらず、現代に生きる我々は生活のあらゆる分野でほとんど専門家にお任せになってしまっています。私なぞ偉そうなことをいってもちょっとした大工仕事ひとつとっても何もできません。仕事以外は、なにからなにまでお任せです。
この複雑な分業化の進んだ世界ですので、専門家にすべてお任せするのはやむを得ないことですし、それで世の中回っていることも事実です。
いつでもどこでも診療をうけられる社会は理想の社会かもしれません。
しかしそれでは自分で自分を守るという力がどんどん失われてしまう、
第一公共のコストが際限なくふくらんでしまうことになります。医療資源は限られていますから。
もっとも現代はたいへん難しい時代です。
地縁、血縁などはもとより、経済のグローバル化とかで我が国独特の社縁すらも消失、家族さえ危うい現在です。まわりに知恵を授けてくれる身近な人がいません。
しかも毎日とても忙しくて健康も含めて身の回りのことまで気が回らない。
この不況下、平日、仕事を休んで医者にいくのは簡単ではありません。
一方、ネットには玉石混交の健康情報があふれかえり混乱するばかりですし、テレビの人気番組では極めて稀な病気を紹介しては不安をあおっています。
膨大な情報のなかから適切な情報を選び取るのは至難の技です。
夜間急に症状がでたなら急患センターへ、そうでなければ、よくよく考えて時間をつくって、かかりつけ医に相談することです。
最後はかかりつけ医の宣伝になってしまいましたけど。