宮城県大崎市三本木町の呼吸器科・アレルギー科・内科

  • 文字サイズ変更
  • 縮小
  • 標準
  • 拡大
  • 当院のご案内
  • 診療科目
  • 初診のご案内
  • アクセス
MENU

診療室から

HOME > 診療室から

診療室から コラム診療室から コラム

ぜん息は治らない?

2014年10月14日掲載

 今年は頻繁に台風が来てほんとに落ち着かない日が多いですね。

 被害が少ないことを祈るしかありません。

 喘息発作で悩まされるのも夏の終わりから秋が多いです。また春先も多い。

 天候が変わりやすい季節に多いのです。気象病といわれる所以です。

 私は卒業後、しばらく大学病院にて気管支喘息の病態について研究しておりました。

 当時は、なかなか発作がおちつかず、そのうち、どんどん重症化して救急外来に搬送される重症患者さんは大変多く、入院患者さんもかなりいらっしゃいました。

 喘息死も年間5000人を超える時代でした。

 それからほぼ30年以上になりますが、現在は救急外来受診の患者さんも入院患者さんも激減、亡くなる方も2000人足らずです。

 喘息はごく普通にみられる病気の一つですが、これほどまで治療法の進歩がみられた病気はあまりありません。

 その一つは、最近当たり前のように使われるようになった吸入ステロイド剤による予防治療です。この薬剤は当初、なかなか普及しませんでした。その後、さまざまな改良と患者さんへの啓蒙の効果があっていまは喘息の基本薬です。ステロイドはその抗炎症、抗アレルギー効果から喘息にはきわめて有効です。吸入によって直接気道に働くので全身作用がすくなくてすみます。最近は気道を直接ひろげる拡張剤との合剤も開発され予防のみでなく治療効果も期待できるようになりました。

 さて、喘息は不思議な病気です。

 もう何年も発作がなく、治ったものと思っていたのに、急にこの秋になって咳が頻繁にでるようになった、ときにはゼイゼイ、息苦しくなってきた、という方もたくさんおられます。

 喘息患者さんには気道の過敏性、つまり感冒や冷気ときにタバコなどのちょっとした刺激で過剰に気管支が反応する素因がある、と考えられています。小児などにみられるアレルギー素因もおおいに関係しています。この気道過敏性は容易になくなりません。

 吸入ステロイドをつづけることで気道の反応性をおさえることが大切です。

 もちろん吸入ステロイドの効果のない重症患者さんは、一定の割合でいらっしゃいますが、
吸入ステロイドのおかげで重症の患者さんは確かに減りました。

 しかし軽症の患者さんはけっして減ってはいません。しかも軽症~中等症の患者さんがおもいがけず重症化して入院してしまうことも少なくありません。

 どうぞ油断なさらないように、長い気持ちでこの病気と付き合ってください。

 吸入ステロイドを簡単に中断しないように。

 よくよく主治医と相談されるように。