2013年7月31日掲載
糖尿病がすごく増えているということはよくマスコミなどで取り上げるのでご存知の方もおおいでしょう。
実際、診療の現場でも増えていることを実感しています。
糖尿病患者は平成19年の統計で890万といわれその予備軍はさらに1320万だそうです。
私が医師になったとき、1974年は糖尿病患者が100万人になったとのことで、その当時これは大変な時代になったといわれたものです。
これだけ急激に増加したのは、皆さん、ご存知のように、飽食と運動不足が主たる原因でしょう。
それでも、まだまだオレは糖尿病ではない、と思っている方が実に多いこと!
なんの症状もない、尿に糖はでていない、家族や親族に糖尿なんていないから大丈夫なんて思っていませんか?
よほど進行しないと、糖尿病による自覚症状はありません。
だからまず、機会をみて血糖を測定してください。食前だけでなく、食後に測定してみてください。グリコヘモグロビンという検査も受けてみてください。血糖が正常でも此の検査で異常がみつかるかもしれません。
糖尿病の恐ろしさはその合併症です。
たとえば、糖尿病による神経障害はきわめて多彩な症状を呈しますし、しかもきわめてなおりにくい。
また糖尿病網膜症で毎年3000人が視力を失っているとの報告があります。
さらには糖尿病による腎臓障害が進行して、あらたに人工透析が導入される人は年間1万5千人にのぼります。
これら神経症、網膜症、腎症を3大合併症といっており、いずれも糖尿病が進行してしまった場合に発症します。しかも、恐ろしいことに、たとえ糖尿病は軽度でも脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の大きな危険因子であることです。
動脈硬化を進展させることが大問題なのです。
ですからがんや肺炎、外科的な感染症などすべての病気にかかわってくるといえますね。
いまは糖尿のけ?がありますね、とは言わないことにしています。きわめて軽症のうちから血糖のコントロールが大切だからです。
一方、糖尿病と言われると自分でなんとかしよう、とがんばる患者さんも結構多い。「食事と運動でしょう?やせればいいんでしょう、大丈夫、がんばってなんとかしますよ!」
それは、結構なことと思います。しかし糖尿病との戦いは決して容易ではありません。
まずは自分の検査結果ときちんと向き合うことです。たとえ、自信があるといっても決して楽観してはいけません。もちろん悲観する必要もありません。
インシュリンは嫌だ、薬さえ飲みたくない、という気持ちはよくわかります。
(インシュリンをふくめ薬の進歩はたいへんなものがあります。でもまだまだ、薬に対して理解が足りない方が多いと思います。)
ただ決して独りよがりの自己流の判断をしないでください。
専門医でさえ血糖コントロールはときに難しいのです。
冒頭にもふれましたが糖尿病患者がどんどん増えているので専門医だけでは対応は全くできません。医師会などの教育講演会は糖尿病関連が一番おおいでしょう。私のような非専門医もがんばって勉強します。糖尿病と診断されても侮らず、逆に不安がらず、一緒にがんばっていきましょう。