診療室から 〜院長 近江 徹広コラム〜

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2013年10月21日掲載救急医療をとりまく課題

 先日、市民病院の菅原知広センター長が会長になって当地で救急医学会が開催されました。

 県下の臨床医、看護師、救命救急士、さらには行政など、救急に携わる様々な皆さんが参加して、症例の報告から、講演などで侃々諤々の議論が交わされ、熱気に満ちた会でした。

 確かに救急医療は私の卒業した40年前と比べたら、間違いなく充実しています。

 しかし、一方においてニーズもまた、圧倒的に増大し、どうしても体制が追いつけない現状があります。
救急患者といえば、40年前は交通事故などの外傷や、外科手術を要するケースが多かった。でもいまはご高齢者の脳卒中、心筋梗塞など内科系の病気が多くなっています。

 高齢化社会ですので、ある程度、やむを得ない面はもちろんあります。

 ただこうした脳、心血管系の病気は、生活習慣病の結果、生じることも多いので、若いうちから気をつける必要もありますし、問題があるのなら、かかりつけ医をもつことが大事なわけです。

 救急の現場では、増え続ける患者さんに限られたスタッフの数で、どのように的確に対応できるか、というのが、皆さん共通の大問題で、これは40年ほとんど変わっていません。

 軽い症状の場合は救急外来を受診しない、あるいは安易な気持ちで救急車を呼ばないことというのは容易いことです。

 もちろんコンビニ受診は論外ではありますが、患者さんやその家族は、軽症か重症か、容易に判断できないことも多いでしょうし、夜ともなれば不安に感じることも理解できます。

 でも医師としては、できる限り昼間の診療時間帯に受診してください、としか言えません。

 市民病院の救急センターがその本来の役割を果たせるようにと、今は午後10時までですが輪番で市内の病院群が、軽症から中等症の救急患者の診療にあたっています。1年後には市営の救患センター(仮称)の設置が予定されており、現在、開設の準備を急いでおります。

 急患センターは時間外の自力で来院可能な比較的軽症の急病患者の診療をおこなう施設です。具体的な体制については、現在検討中です。市民の皆さんにとっては大変な福音ではありますが、これで救急医療の課題がすべて解決するわけではありません。

 科学としての医学の発展はまさに日進月歩です。とはいっても生身の人間を対象とする臨床の現場においては、診断が常に確実とはいえません。まして救急の現場ではより限られた情報と、より少ないスタッフの下で、ときには専門外の対応を求められることも多いのでなおさらです。

 限られた医療資源のなかで、医療の原点ともいうべき救急医療をどうするか?これは直接関わる、医療人だけでなく、地域の方々、皆さんの叡智をかたむけ、検討しつづけねばなりません。

0229-52-3057
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