診療室から 〜院長 近江 徹広コラム〜

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2013年5月1日掲載ひょっとしたらこれって認知症?

 先日、内科学会で認知症の診療の研修会にいってまいりました。

 認知症は神経内科や精神神経科の医師が専門ですが、増え続ける患者さんには専門医だけでは
とても対応しきれないとのことで、かかりつけ医への診療能力をたかめようと企画された会でした。

 驚いたことに2013年現在、認知症患者は305万人しかも予備軍(かなりの程度の物忘れ)がさらに300万人いるとのこと、およそ75歳以上では3人に一人くらいあやしいということになるようです。今後私のような団塊の世代が一斉に高齢化することを思うと、これは大変な時代がくると思った方がいいですね。 

 それでは認知症とはどういった状態かといいますと、脳が障害されて、記憶力、実行能力、会話能力などの知的機能が持続的に障害されて社会生活に支障をきたすようになった状態です。
 ですから単に物忘れがひどくなっただけでは、必ずしも認知症とはいえません。

 認知症はいろいろな病気で発症します。なかには外科的治療などによって、見事に回復する病気も含まれています。まずはきちんと診断をうけることは大切です。
 とはいっても、皆さんよくご存知のアルツハイマー型認知症が大半をしめます。

 アルツハイマーは有名ですから、よく“物忘れが普通でないので診てもらいたい”といって自分で当院を訪れる患者さんもいらっしゃいます。

 まあ歳をとれば物忘れはよくみられることです。
自慢じゃないけど私なんぞも最近、物忘れがひどくスタッフからあきれられることもしばしばです。同級会では、物忘れ自慢で話に花が咲きます。

 私もいさいさか不安にはおもっています。だって、現時点ではどんな人が認知症になるかわからないのです。

 ただ物忘れが最近、ひどくなってきた、何度も同じことをいう、置き忘れやしまい忘れがめだつ、だらしなくなった、日課をしなくなった、さらには時間や場所の感覚が不確かになった、
財布を盗まれたと言うようになったなど、日常生活にあきらかに変わったところがみられるとしたら、受診の必要があります。家族の方の気付きが大切です。

 認知症もやはり早期診断が大切です。現時点でアルツハイマーに対しては4種類のお薬が使えるようになり、なるべく早い段階で処方することにより進行のスピードをおさえることが可能になってきました。

 ですが残念なことに治癒に導くことはできません。

 認知症の患者さんも発病当初はとてもとまどい苦しみます。自分でも“何故、私はこうなってしまったのか、これからどうなるのかしら?”と不安と焦りにいっぱいになります。

 家族もいままであんなにしっかりしていたのに、と落胆してしまい、どう対応したらいいか、悩みます。患者さんによっては経過のなかで妄想などいろいろ精神症状がでることもありますが、 ゆっくりと病状は進行しやがてすべての脳機能は失われ寝たきりになっていきます。

 将来はともかく、特効薬がなく、入院も施設入所も容易ではない現在、家族だけの介護ではとても大変です。

 いま市と医師会は患者さんとその家族を中心にして介護、福祉、医療間でネットワークをつくり、地域ぐるみで対応していこうという仕組みを検討しています。

 当地にも専門医はもちろんいらっしゃいます。しかしすべての認知症にかかわるにはあまりにも少ない。まずは家族の方がなんか変と思ったら、かかりつけ医でも、介護支援センターでも、ご相談なさるとよいと思います。
 ネットワークはまだ完全にはほど遠い状態ですし、かかりつけ医として私もまだまだ勉強不足で手探りで対応しているところですが、多くの方々がそれぞれの立場で係わり合うことで、いくらかでも道は開けるものと思っております。

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