診療室から 〜院長 近江 徹広コラム〜

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2012年11月5日掲載風邪に注射?

  先日TVをみていたら、有名な時代劇俳優が「風邪をひいたら医者にいって一発、注射してもらわなければ治った気がしない」といっていました。

 あ〜やっぱり、いまだにある程度の年代の人には注射信仰があるんだなあ、と思いました。

 開業して25年になりますが、開業当初は注射を希望する患者さんが多くて、その対応に困惑したものです。いまはさすがに少なくなりましたが。

 私の外来でも風邪をひいた、といってくる患者さんが一番多く、親子二代にわたって近江医院は自称‘かぜ医者’であります。

 患者さんは「ただの風邪だけど、はやめに治してもらいにキスタ!」「あしたまで、注射一本で治してケラインチャ!」なんて私ども医者にしてみればカッテナことをいって来られます。

 私も商売ですから「なんとかしてミスペ」とテキトウなことをいっております。

 一方で私めは医師会の看護学校でも教壇にたっておりまして、「風邪というのは、ほとんどウイルスでひきおこされる上気道の炎症で、せいぜい対症療法くらいで根治療法は未だありません。

 まあ栄養のあるもの食べて安静を保っていれば個人の免疫力によって自然治癒するものをいうのです。」と講義しております。無理して医者にくるなら寝ていた方がよい!とさえいうこともありました。(しかし私はかぜ医者ですので、あまり大きな声ではいえません、
 私にも生活というものがありますので、ホームページをみてくれる方々もここだけの話にしてください)
さて、では風邪をひいたら医者にいってもしょうがないのでしょうか?

 これは結構むずかしい問題です。

 まず患者さんのいう“ただの風邪”はほんとうに“ただの風邪”でしょうか?

 結構、背景に重篤な病気が隠されていることもあります。様々な病気は風邪様症状ではじまることが多いのです。

 また風邪だからといって放置しておくと肺炎など、いつのまにか重症化してしまうこともあります。

 一般に乳幼児、あるいは合併症をもっている方や高齢の方、寝たきりの方、とくに喘息やCOPDなど呼吸器病をもっている方では風邪は急性増悪の引きがねになります。

 インフルエンザも風邪の一種とみなされることもありますが、その症状の強さや伝染力、合併症など
考えると、もはや風邪とはいえないでしょう。

 風邪をひいたらまず安静、栄養が大切です。なかなかよくならない、どんどんひどくなる、食欲がなくなってきた、熱がいっこうに下らない、などは受診のめやすでしょうね

 いろいろ書きました。分かっていただきたいのは風邪は注射一本で治ることはありません。

 痛い思いをする必要などありません。

 特効薬もインフルエンザを除くといまだありません。

 なるべく早めに治して!という期待に応えることもできませんが、風邪は万病のもとというのも事実です。やはり、日ごろから適度な運動とバランスのよい食事、手洗い、うがいとか日ごろのセルフケアに勝るものなない、というごくありふれたアドバイスしかありません。

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